



白い放物線を描けるのは、
あいつだけじゃない。
美術室の窓から見えるグラウンド。
走る、白球を追うクラスメイト、その他。
フェンス脇で騒いでいる小柄なキミ。
キミの友達。友達。
目の前にあるイーゼルを窓外へと向き直し、
カンバスを前に、ホワイトを含んだ平筆を握り直す。
放課後の、ボクの定位置。
金属音を連れて、
柔らかい放物線を描く白球が見える。
その白球を見つめるキミが…
飛び出す白球が生まれた場所を見つめる
キミが、見える。
視線を外して、カンバスに大きく、ホワイトを塗る。
柔らかく、丁寧に。
放物線を描くように、描く。幾度も。
白い放物線を描けるのは、あいつだけじゃない。
―文化部には、文化部なりのやり方が、さ。
おどけて独りごちた、その瞬間…
キミの視線が、
ボクの窓へ向けられたような気がした。
photo・nishida shuhei
text・suzuki sachihiro
stylist・kawahara ayumi
hair make・ohashi mafuyu
update・2013.11.01
ひろせ・すず
6月19日生まれ
https://twitter.com/suzu_mg