デニムなんだもの。

ルーズシルエットじゃない“らしくない”キミを、街で見かけた。
いつも穿いてるワイドパンツとは違う、
スキニーなインディゴブルーのデニム。
ギンガムチェックのシャツが相俟って、すごくneat。
細く長い脚のラインが視界に刺さって… なんだかドキドキする。

そういえば…さ、友だちと騒いでたよね。
「俺、本当はデニムが勝負服なんだよ」って。
そんな恰好してるとこ、見たことないよ！
大声のユニゾンで、リアクションされてた。
そばで聞いてた、わたしも、ないない…って思ってたけど。

今のキミを見ちゃうと…うん。
…ってゆーか、デニム萌えだったのか、わたし。
キミはサインボードの前で誰かを待っていて、所在なげに、頬を撫でている。

“初めて”見るキミの姿。このまま見つめていたいけど…
視線を交わしちゃう前に、ゆくね。

だって…デニムなんだもの。

photo・nishida shuhei
text・suzuki sachihiro
stylist・kawahara ayumi
hair make・kanno ayaka
update・2022.11.17