彼女の誘いはいつも急だ。

ケータイ受話口から甘えにも似た鼻声…
「チケットもったいないからさ、いっしょに来てよ」
彼女の誘いはいつも急だ。
季節の変わり目には必ず風邪をひくことを
知っているくらいの、長くゆるやかな関係のふたり。

―別にいいけど。身体は大丈夫なの?
軽く咳き込んでいる彼女に話しかける。
「平気、べーぎ。
せっかく手に入れたチケットだしね、使わないと」

―もしかして…あいつに断られた?
気にしているカレがいることは、
彼女自身から散々聞かされている。
「ううん。誘うの、やめたんだ。
風邪うつすわけにいかないじゃない?」
―そりゃまた。
意識的に、少し鼻白んでみたりして。

「わたしね…風邪をひいた時に
うつせるかうつせないかで
その人への気持ちが分かる」
―どっちが…どうなの?
「うつせちゃうと思う人とは、
友達以上に絶対なれない」

―受け身だね…うん、分かる、かな。
ボクもそうだよ。
「えっ…キミは風邪ひかないじゃん!
見たことないよ」
―あはは。そりゃね、、、バカは…
「風邪ひかない!」

ボクは、彼女と違って季節のピークに体調を崩す。
彼女がそのことを知る日は、きっとやってこない…

photo・nishida shuhei
text・suzuki sachihiro
stylist・uto emi
hair&make・endo makiko

このえ・ゆうき
1月6日生まれ
http://ameblo.jp/chika-uemura/